2.船積日を境にして損失額をどのように計算しますか?

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セラーは、日本貿易保険における貿易一般保険の保険金請求時点でもって損失額を算定します。
1.「船積前危険」の場合⇒船積不能
セラーは、輸出契約額(FOBベース)がどのようになっているかを分解し、損失額をとらえます。

  供給価額+要支出費用+期待利益=輸出価額

ただし、船積みができなかったことによって支払わなくてもよくなった「要支出費用」や船積みができなくなったことによる「期待利益」はそれぞれ控除することになります。
 これらのうち、セラーは既に貨物を自社に搬入等していた場合には転売差額になりますが、そうでなければ、主な損失額は解約違約金になります。
2.「船積後危険」の場合⇒代金回収不能
回収不能額は、輸出契約に係る前受金を除いた貨物代金の回収不能額です。ただし、保険金請求時までに一部回収があった場合にはその額を控除して損失額をとらえます。

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セラーは、保険会社における取引信用保険の待機期間満了時点でもって損失額を算定します。
1.「積出し前危険」の場合(「オプション扱い」のもの。)⇒船積不能
損害額をとらえるタイミングは、保険事故の態様で異なっております。倒産状態の場合は直ちに、その他の場合は5月の船積不能状態です。そのときは総費用(≦クレジットリミット、かつ、契約総額の80%)をとらえて計算します。(取引単位)
2.「不払い危険」の場合⇒代金回収不能
損害額をとらえるタイミングは、保険事故の態様で異なっております。倒産状態の場合は確認資料の提出後30日、その他の場合は支払遅延通知時から5月の不払い状態です。そのときは正味債権(≦クレジットリミット)をとらえて計算します。(バイヤー単位)
(注)「正味債権」とは、待機期間満了日における損失額のことであって、総請求額-総回収額=正味債権で求められた額を指します。
「待機期間」とは、保険金を支払うまでの待ち期間を指し、その期間は不払いの態様で異なります。(倒産状態の場合は30日、その他の場合は5月。)


(1)損失単位はどうなりますか?

 ここでは、貨物代金額が(A)契約単位により支払期日別に分解するか、それとも(B)支払期日分を統合するかどうかです。
 公的保険では、通常、契約単位により支払期日別に分解し、不払い額をとらえるものです。
 また、民的保険では、通常、債権単位により複数の商業送り状(通常「請求書」のこと。)を統合し、不払い額をとらえるものです。
 2スキームで関心のあるのは、シンプルに保険をかけるところです。